シングル女とゲイ男:フラとハワイアンミュージックの場合


40歳になり、自分が親友と呼べる友人はゲイ男性しかいないことにと気付くと、やはり若干ショックではあります。アメリカのハリウッド映画やホームドラマに描かれるように、シングル女性とゲイ男性はうまがあうと感じています。同じく男性をターゲットにしてはいますが、ライバル関係になることはあまりないですし、男性であれど相手との距離感に一切気遣う必要もなく、唐突に(自分よりも素敵な/年下の女性との)恋人・結婚・出産やらの話を告白され、劣等感や「裏切られ感」を受ける事もない。フットワークが軽く旅好きな人が多いので、顔を合わせる機会も多く、互いにどんなみっともない失恋話も夢のような恋愛話も、共有し同情し合える。友情が恋愛や優劣感で乱される事がないので、シングル女性にとって完璧な「安全地帯」の人となりうるわけです。

私がゲイ男性と知り合いになるきっかけは、ハワイアン音楽の演奏やフラ、ハワイ留学がそのすべてです。フラダンサーならばご承知の通り、フラの師匠やダンサー/ミュージシャンにゲイの方はたくさんいます。多い理由を、ポリネシアには「マフ」という「第三の性」が歴史的に認められて来たから、とか、音楽や舞踊のような芸事の世界であるからなど、さまざまに語る事ができると思います。結果として、女装の凄腕ミュージシャンや、男性的/女性的なフラを巧みに踊る、ゲイのフラダンサーの存在が珍しくはないのが現状となっています。

私の親友は自分がゲイであることをオープンにするタイプでした。大学の寮の食堂に彼氏同伴で現れますし、院生室の彼の机の上には、旅先の東南アジアで購入して来た、40-50cmはあろうかという男性性の象徴の木製の置物を常に飾ってありました。茶目っ気のある明るいゲイの彼は、一緒にハワイアンを演奏していると、バンプ(間奏)の最中に、聴衆の男性の中での私の好みを聞き、自分の好みを発見すると目で合図してきました。ちなみに私が学んだ事は、小綺麗でオシャレな男性ほどゲイであったので、容姿端麗な男性に出会うと、ゲイであるに違いないと思うようになってしまいました。

数としては少なめでしたが、先輩フラダンサー、研究者、ミュージシャン、そしてクラスメートの女性の中にレズビアンだと明示している女性たちがいました。残念ながら直接私は耳にすることはできなかったのですが、フラ界ではサラブレッドの娘たちのレズビアン4人衆がバンドを結成したことがあり、その演奏は素晴らしかったという話を、別のゲイの友人からききました。(そのバンドはその後すぐに解散してしまったそうです。)私が所属していたフラハーラウのリーダー格の女性は恋人の女性と共に、強く優しくチームを統率してくれていました。ハワイですら少数派でしたが、フラ/ハワイアン音楽界におけるレズビアンの女性たちの存在感は確固たるものがありました。

こうしてみてくると、日本のフラ・ハワイアンミュージック界には、そうした性的マイノリティーの存在が欠落しているように思えます。わたしのゲイの友人たちは東京のゲイ街で遊ぶのが大好きです。私からみるとうらやましいような、ゲイ男性間のネットワークを駆使し、日本人のゲイ男性と頻繁にデートし、食事に一緒に現れます。我が親友曰く、日本のゲイ男性たちは生き苦しそう、なのだそうです。そうならば、女性の性的マイノリティーの方なんて、もっと苦しい立場にあるのでしょう。日本のフラの先生方の大半は女性ですが、レズビアンの方はいらっしゃるのかしら。日本のハワイアンを演奏している人の大多数は男性ですが、ゲイはどれくらいいるのだろう。日本のフラダンサーの大多数である女性たちの中にレズビアンは?少数派の男性ダンサーの中にゲイは?今後、ハワイのように、性的マイノリティーである立場を公表したミュージシャンやダンサーが日本のハワイアン界に現れる時がくるのでしょうか?いずれにせよ、せっかくハワイの状況に慣れているのだから、日本のハワイアン界がそういった性的マイノリティーの方たちにとって暮らしやすい土壌を提供してあげれるとよいなあと思います。

ちなみに、ハワイのフラダンサーの中でシングル(中年)女性にはほとんどお目にかかりませんでした。